アメリカ大統領選挙とは一体、何なのか?⑤
大統領選挙は室町幕府と石山本願寺がハイテク兵器を使って戦っているようなもの
倉山満によるアメリカ大統領選挙解説シリーズ第5回
月曜日の投票では移動がきついから、火曜日が選ばれたわけです。
本選の投票日が十一月の最初の月曜日の翌日というややこしい設定になっている理由は、農閑期の十一月なら、投票のための旅行がしやすいだろうということと、十一月一日がカトリックの祭日なので、ぶつからないように十一月の最初の月曜日の「次の日」としたということです。
今年、二〇一六年の選挙は予備選挙から共和党も民主党も盛り上がっていましたが、これは、四年前と違って、現職大統領が次の大統領候補になれないからです。
四年前は現職のオバマが二期目のための候補者だったので、民主党では予備選挙がありませんでした。
現職の大統領を否定することは自己批判につながるので、起きにくいですし、知名度を広げる必要性もないので、普通、現職大統領側が圧倒的に有利です。
ビル・クリントンの二期目のときなどは、もう勝ち目の絶対ない選挙だったので、共和党側は上院のボスのボブ・ドールを無理やり立てて、嫌がらせをしたということです。
七十三のお爺さんを全米何州、何時間耐久演説マラソンというようなわけが分からないことをやって、全国行脚をさせたのです。
「上院のボス」という話が出たついでに言っておきます。拙著『総理の実力 官僚の支配』で詳しく書いたように、議会のボスには五十年間国防委員長とか、外交委員会委員長とか、ハチャメチャなのがいます。
日本の外務省はどうしてそういう人物にロビイングをしないのでしょうか。